2007年4月アーカイブ

平成18年度は、冒頭より障害者自立支援法の様々な問題で忙殺された。障害程度区分が知的障害者の特性を反映しないとか、日割り計算により大幅な減収が見込まれるなどである。その中でも、グループホームが経過措置のないまま新法に移行することは、大変な労苦の中でGHを作ってきた経営者にとって"はしごをはずされた"思いと"施設から地域移行"ができにくくなることの先行き不安を感じた。この時期を同じくして町田福祉園の民間移譲が始まった。

移譲に関して、ご支援ならびにご協力いただきました、鈴木会長をはじめ家族会の皆様、行政の担当者の皆様にあらためて感謝申し上げたい。

当然のことながら、利用者様、家族の皆様、職員も大きな不安を抱えての出発だったが、各マニュアルの整備、様々な研修のほか時事的に必要な研修の実施、また医師をはじめ臨床心理士、理学療法士、作業療法士等の専門家の助言、さらには、東京都社会福祉事業団の運営時代より継続している苦情解決制度などが上手く機能したことにより大きなトラブルがない中で運営してきている。

障害者福祉の特徴は、利用者様が若い時期からのご利用ということがある。我々、支援者はこの方たちの大切な人生の一こまに重大な責任を持つ仕事であるということを肝に銘じ支援力を高めていく努力を惜しんではならないものと思っている。

医学の世界では、近年、EBMとNBMの統合が患者さんの満足度の向上に繋がるといわれている。EBM(Evidence Based Medicine)科学的な根拠に基づいた医療、疫学的(統計的)データに基づいた医療、という考え方である。これに対しNBM(Narrative Based Medicine)という考え方がでてきた。これは患者さんとの対話を通じて患者さん自身が語る物語から病の背景を理解し、抱えている問題に対して全人格的なアプローチを試みようという臨床手法である。

この二つの概念は対立する概念ではなくて、疾患の理解にはEBMを悩みや苦しみや心の問題にはNBMをというような位置づけがなされている。

我々の仕事はこの両輪の統合が大事である。医療の力を借りながら、利用者様やご家族の皆様のライフヒストリーにも積極的に耳を傾け、表層的ではなく心の深い部分にある辛さや悲しさに『心に添う』支援が必要だと考えている。

また、ソーシャルワーカーとしての側面からの我々の仕事は、未成熟な福祉社会で生きにくさの中におられる人たちの暮らしを変えていく社会変革運動の担い手ということであり、施設から地域へ、在宅福祉重視という世界の普遍的な流れに沿った現実を作り出していかなければならないという使命がある。

福祉氷河期と呼ばれる時代で首都圏という暮らしの場を作り出していくことがもっとも困難な地域で我々は仕事をしているが、行政との協働作業の中で『生きやすい暮らしの場』を現実化していくことが大きな課題となっていることを強く意識していかなければならないと思っている。

(職員向けメッセージより)

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